家の権利書を紛失してしまった場合の対処法とは?

asian businesswoman on white background

 

遺産相続手続きを開始する時、家の登記や売買に使用する権利書がないというトラブルは、意外と多くの相続人が体験する実態があります。

例えば、今まで故人の家にあるだろうと思っていた権利書が見当たらない場合、多くの皆さんがパニックに陥ってしまうのです。

しかし少し変わった特徴のある権利証に関しては、相続手続きに必要な一般的な書類と違って、紛失していてもスムーズに対処ができる実態がありますので、その仕組みを理解することで強い不安から解放されることは可能と捉えて良いでしょう。

今回は、これから相続手続きに臨む皆さんと一緒に、家の権利書を紛失してしまった場合の対処法を詳しく確認していきます。

権利書とは?

古くから日本に存在する権利書は、債券・株券・手形といった有価証券の譲渡時に絶対必要なものというイメージが持たれています。

そのため昔は、さまざま取引に欠かせない権利書を綺麗な風呂敷に包んで、桐箪笥の奥にしまっておく方々も非常に多かったようです。

《権利書・権利証という言葉における一般的な意味》

一般的な言葉として考えると、権利書には、有価証券や不動産の権利そのものという意味はありません。

確かに権利書には、不動産などの権利を持っていることを証明するという役割があります。

しかし遺産相続などを含めた実務上で考えれば、何らかのトラブルで権利書を紛失してしまった場合においても、有価証券や不動産の権利者であることを証明する手段はきちんと存在しているのです。

こういった基本的な言葉の意味と捉え方から考えると、これから遺産相続を行う被相続人の家から権利書が出てこない問題にぶつかっても、心配する必要はないと言えるでしょう。

《権利書には2つの概念がある》

ちなみに権利書(権利証)と呼ばれるものには、紙とパスワードという2つの種類があります。

こうした形で2つの形式が存在する背景には、不動産登記法の大きな改定とともに権利書の様式も変わってしまったという実情があります。

昔の人が桐箪笥などの中にしまっていた紙の権利書は、明治32年からスタートした種類です。

これに対して現代式とも言えるパスワードの権利書は、100年ぶりの不動産登記法における大改正が行われた平成16年以降に、運用されるようになったとされています。

紙の権利書に関する基礎知識

打合せするビジネスマン
多くの人が紛失によりパニックになるのが、平成16年以前まで運用されていた紙の権利書です。

《紙の権利書とは一体どんなものですか?》

所有権の権利に関する登録済証が、紙の権利書・権利証と呼ばれるものです。

古い不動産登記法では、登記によって権利を取得する登記権利者に登記済証が発行される仕組みとなっていました。

その中で特に所有権に関するものを、権利書と呼んでいます。

これに対して、賃借権や地上権、抵当権に関する登記済証には、権利書とは呼ばれないルールがあります。

《権利書は法務局と司法書士の合作だった》

ちなみに権利書の用紙は、司法書士などの申請する側が自ら用意して、法務局に渡す流れとなっていました。

この用紙を受け取った法務局側では、そこに、受付番号や受付年月日などの朱印を押した上で、権利書として返す運用をしていたようです。

そのため、古い時代に作られていた紙の権利書は、法務局と司法書士の合作とも言える存在だったと言われています。

現代の法律における権利書(登記識別情報・パスワードの権利書)の基礎知識

これに対して現行法で登記した時に法務局から発行されるのは、古い時代に運用されていた権利書(権利証)ではなく、登記識別情報と呼ばれる「情報」です。

12桁の英数字で構成されたパスワードとも言える登記識別情報は、紙に印刷される形でもらえるシステムとなっています。

他者に見られるリスクを防ぐために、当初の登記識別情報の上にはシール、現在では袋綴じの形で登記者本人に配布される形となるようです。

《パスワードの権利書と紙の権利書は、法的な位置付けは違うの?》

同じ不動産登記法にもとづき発行される登記識別情報と紙の権利書は、法的な位置付けはほぼ同じと考えられます。

権利者ごと、物件ごとに発行される登記識別情報と呼ばれるパスワードは、法務省のコンピュータ内に登録される形です。

そのため、パスワードの書かれた登記識別情報の印刷物と照合すれば、不動産の権利者かどうかの判断が国としてできる仕組みです。

家の権利書を亡くしてしまった時、登記申請はできなくなるの?

こうした形で2つの種類が存在する家の権利書を紛失してしまった場合であっても、下記のとおりに手続きを進めていけば、問題なく登記申請などを進められます。

《権利証の再発行はできる?》

家の権利書を紛失した時、多くの人が法務局で再発行をしてもらおうと考える傾向があります。

登記した時に1回だけ発行される権利書は、紙・登記識別情報どちらであっても再発行はできません。

しかし権利書をなくしてしまってもそこに記載されている所有権がなくなるわけではありませんので、心配は不要です。

《権利証の代わりに保証書を提出する》

権利書を紛失した人が土地を売る時には、保証書と呼ばれる書面を権利書代わりに提出することで、登記申請を行える形となります。

登記を受けたことのある2名の成年者が権利証を亡くした登記義務者に違いがないことを保証する書面が、保証書となります。

保証書の中には、売買対象となる土地、登記義務者の氏名、登記の目的、2人の保証人が登記を受けた不動産の表示といった内容が記載される形です。

ここで指す保証人が受けたことのある登記とは、所有権に関する内容だけでなくそれ以外の登記であっても構いません。

また既に抹消されている古い時代の登記であっても、問題のない形となります。

《保証書と一緒に提出すべき書類とは?》

保証書を登記所に提出する時には、3ヶ月以内に取得した保証人2名の印鑑証明書を添付します。

またこれから登記申請を行う登記所と別な場所で登記を受けている場合は、その登記簿謄本の添付も必要となってくるため、注意が必用です。

《保証書を使って登記申請した後の流れ》

権利書ではなく保証書を添付する形で所有権に関する登記申請を行った時、まず法務局から登記義務者に保証通知書が届く形となります。

保証通知書とは、登記申請の意思が本当にあるのかを確認するために発行される書面です。

登記申請に問題がなければ実印を押した保証通知書を登記所に提出し、その段階で本受付へと進む流れとなります。

この通知書は3週間以内の返送が必要となりますので、遺品整理などで長く自宅を離れる場合は注意をしてください。

これに対して抹消登記や抵当権設定といった所有権以外の登記に関しては、保証書を添付して申請を行なえば、直ちに登記が実行される仕組みです。

権利証が盗まれてしまった場合はどうなるの?


ここで多くの人が不安に感じるのが、紛失や盗まれてしまった権利書によって、「悪質な第三者が勝手に土地の売却などを行ってしまうのではないだろうか?」というポイントです。

こうしたトラブルを防ぐために、権利書には下記のような対策が講じられています。

《盗んだ権利証では所有権移転はできない》

まず盗んだ、拾ったなどの入手方法で得た権利書だけでは、基本的に所有権移転ができない仕組みとなっています。

一般の皆さんが移転登記をする際には、所有者の権利書だけでなく、印鑑証明書や実印なども必要となってくるのです。

また権利書が盗まれた場合は、その不動産を管轄している登記所に対して、勝手な登記申請があった時に連絡をして欲しいという書類を提出することも可能となっています。

この手続きを予め行っておくと、第三者と思われる人物からの登記申請の手続きを法務局が差し止めてくれる形です。

《司法書士の本人確認も厳重に行われている》

一般的に登記申請は、司法書士が代理で行うことが多い実態があります。

権利書の紛失や遺産相続トラブルを熟知する司法書士は、登記前に本人確認を厳重に行ってくれる専門家です。

特に問題になりやすい登記の場合は、依頼者が本人かどうかだけでなく、当事者に法律行為を行う意思があるかなどの確認をする実態があるようです。

《1度失効させると復活はできない》

パスワードで表記される登記識別情報についても、1度失効させると2度と復活させられないシステムとなっています。

こうした仕組みのある権利書は、所有者本人が紛失の実態に気づき適切な対応を行なえば、悪質な第三者に悪用されることはないのです。

一般の皆さんにとって再発行のできない権利書は、融通のきかない書面と捉えられることもありますが、失効により復活できない特徴が悪用のリスクを下げているとも言えるでしょう。

まとめ

証明書によって登記申請が可能となる家の権利書は、紛失をした場合でもその対処法に悩むことは少ない書面と言えそうです。

しかしこの手続きを行う際に保証通知書による事前通知があることを考えると、権利書を持たない人が登記申請をする際にはなるべく早めに行動を起こすのが理想となるでしょう。

また争族問題により自分以外の相続人に権利書を持っていかれてしまったなどのトラブルを抱えている場合は、遺産相続に詳しい弁護士に早めの相談をするようにしてください。

get_footer(); ?>