借金を残して親が死んだ場合、子供はどうすれば良いのでしょうか?

mofuku_2

遺産相続に関する相談の中には、「自分の親が借金を残したまま死んだ場合、子供の自分はどうすれば良いのか?」といった内容が大変多く見受けられます。

特にひとり暮らしのお年寄りが増える近頃では、親の預貯金や借金といった経済状況が全くわからないことにより、将来的な相続に向けて不安を抱えるお子さんも非常に多い実態があるようです。

今回は、意外と大きな相続問題に発展しやすい親の借金について、その扱いと具体的にどういう対処をする必要があるのかを皆さんと一緒に詳しく確認していきます。

親の借金を子供が返済する義務はあるのでしょうか?

まず借金をしている親がまだ生きている場合、子供が連帯保証人でもならない限り、返済義務は本人のみに生じるものと考えられます。

例えば、その親本人が自己破産などの債務整理を行った場合も、返済義務が子供にスライドすることはありません。

そのため、借金をした父や母がまだ生存している限りは、子供には一切法的な責任はないと判断して良いのです。

また貸金業法では、債権者以外の人に対して、債権者本人に代わって債務の弁済を要求する行為を禁止していますので、借金を作った親がまだ生きている限り債権者から肩代わりを求められても対応する必要はないと言えるでしょう。

《借金を抱えた親が死んだ場合、話は別》

借金を完済していない親が亡くなった場合、その債務もマイナスの財産として遺産相続の対象となります。

例えば、父親が既に死んでしまった家族の中に、母親と4人の子供が存命だったとします。

100万円の借金を作った母親が返済を全くしないまま死んだ場合、法定相続人となる4人の子供が法定相続分に従う形で借金の相続も行われてしまうのです。

そのため、この家族のケースでは4人の子どもたちに25万円ずつ借金の支払いをする義務が相続される形となります。

また相続対象の中には、土地や家、預貯金、現金といったプラスの財産もありますので、前述の事例のようにシンプルに25万円×4人で分割できるケースは少ないと捉えた方が良さそうです。

《相続放棄・限定承認という選択肢》

親に借金があった場合の相続対策として多く用いられるのが、相続放棄もしくは限定承認という方法です。

その名のとおり遺産相続の権利を放棄するこの方法を用いると、相続人ではなくなると言うか達で債務のある親の財産との関わりをなくすことができるのです。

こうした特徴のある相続放棄は、土地や家、預貯金といったプラスの財産と比べて明らかに借金が多い場合、多くの申立てされる傾向があります。

これに対して限定承認は、相続開始の時点で借金の額がわからず、「プラスの財産とマイナスの財産、どちらが多いのか?」の判断ができない時に用いられることもある手続きです。

例えば、預貯金や土地、家屋などの総額が500万円あるのに対して、借金の額が全くわからない場合に、限定承認の申立てを行ったと仮定します。

その後の借金の調査によってマイナスの財産が200万円だった時には、その額も含めて相続する形となるようです。

これに対して借金が800万円あることが判明した場合は、限定承認をした500万円のみの相続になるという仕組みです。

借金のある親が亡くなった時に起こり得る相続トラブルとその理由

N912_atamawokakimushiru_TP_V4
親の借金への対策としては、ここまで紹介したとおり相続放棄と限定承認という2種類の手続きのいずれかを選択するケースが非常に多く見受けられます。

しかし相続放棄もしくは限定承認を行うと決めても、親の借金が存在することによって法定相続人の中に下記のようなさまざまな問題が生じる実態があるようです。

《親に借金があるのか、無いのかわからない》

親が亡くなって相続開始をした直後、多くの法定相続人が借金の有無に関して判断のつかない状態に陥る傾向があります。

これがもし親と法定相続人の誰かがひとつの家で同居をしていれば、日々ポストに届く郵便物や買い物、外出の頻度などから被相続人の借金を含めて経済状況全般の把握がしやくなります。

これに対して被相続人となる親と子供たちが別居をしていたり、長きに渡って連絡を取り合わない疎遠状態の場合は、借金の有無だけでなく財産の把握全般が難しくなると言えそうです。

《親の借金は誰もが払いたくないもの》

亡くなった親に多大な借金が残っていた場合、法定相続人となる子どもたちの大半が心のなかで「返済なんてしたくない」と感じる傾向があります。

またこうした気持ちによって「関わりたくない」という姿勢が生まれると、その結果として遺産分割協議や遺品整理などの作業全般が進まなくなってしまうのです。

このように親の残した借金に対してネガティブな想いを抱える法定相続人が多い場合、非協力的な姿勢により遺産相続手続き全般がスムーズに進まなくなることもあります。

そのため、借金を払いたくない理由で「私はお金がない!」といった主張が出てくると、更に相続問題が深刻化すると言えるでしょう。

《相続放棄によって生じる問題》

親の借金の額に驚愕した誰かが相続放棄を行うと、他の法定相続人の負担が大きくなります。

例えば、100万円の借金を抱えた母親の子供4人のうち、2人が相続放棄をした場合は、残された2人の法定相続人が法定相続分に沿った形で50万円ずつ債務を支払う考え方となります。

また4人の子供全員が相続放棄を行った時には、第二順位となる母の親(祖父母)、第三順位の母の兄弟姉妹へと相続の権利が移っていきますので、注意をしてください。

《後々になって債権者から連絡がくることもある》

法定相続人が借金の調査をしきれない場合、後々になって債権者から借金返済の督促とその実態が明らかになるケースもあると言われています。

また被相続人である親が誰かの保証人もしくは連帯保証人になっていた場合も、その人が借金の支払いをできなくなったタイミングで、法定相続人に返済の連絡がくることもあります。

借金を抱えた親が死んだ場合の対策1 親の借金を調査する

親が亡くなることによって相続開始となったら、まず被相続人の借金と財産の全てを調査する必要があります。

《信用情報機関を利用する》

借金の調査方法として最もおすすめとなるのが、CICやJICC、全銀協といった信用情報機関の利用です。

この3機関に情報の開示請求を行うと、銀行のカードローンやクレジットカード、消費者金融のキャッシングなどで借りた借金を全て把握することができます。

これらの機関には所有している会社の情報が異なる実態がありますので、1機関への開示請求で満足せずに、なるべく3団体全てに問い合わせをするようにしてください。

《信用情報には記載のない連帯保証人》

被相続人となる親が自分でお金を借りたわけではない保証人や連帯保証人は、信用情報機関への開示請求で把握できない存在です。

自宅に契約書などがあれば、その書面の内容から連帯保証人になった契約内容などの把握もできます。

しかし被相続人が家族に内緒で保証人になっている場合、こうした書面を敢えて隠す傾向もあるようです。

こうした状況により借金や債務の把握ができない状況を防ぐためには、親が生きているうちに「誰かの連帯保証人になっていないか?」の確認をしておくのが理想と言えるでしょう。

借金を抱えた親が死んだ場合の対策2 相続放棄

Fotolia_41699846_S

親の借金から逃れる唯一の方法とも言える相続放棄や限定承認は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所への申立てが必要となる手続きです。

特別な事情があれば熟慮期間が過ぎた後でも申立て可能な場合もあるようですが、一般的には3ヶ月以内に財産調査を行い、その間に相続放棄をする・しないの判断を行う必要があると言えるでしょう。

《裁判所によっては手続き前に相談も可能》

申立て手続きを行う裁判所には、申請用紙だけでなく相続放棄について詳しく書かれた資料があるのが一般的です。

また申請時には窓口で担当者と話をしながら手続きを進める形となりますので、熟慮期間を超えた手続きなどについて質問がある場合は、家庭裁判所に直接確認してみても良いでしょう。

《相続放棄ができないケースもある》

相続放棄をする上で最も注意すべきなのが、被相続人の預貯金や現金、遺品などの扱いです。

例えば、相続放棄の申立てをする前に勝手に親の預貯金を使ったり、自宅や遺品の売却をした場合については、法定相続人が被相続人の権利義務を継承する単純承認を行ったとみなされるケースがあります。

親が住んでいた家が賃貸だった場合は、不動産会社から早期の退去や遺品整理を求められる傾向がありますが、将来的に相続放棄の予定があるなら弁護士などの相続問題の専門家に相談をしながら優先順位を決めるべきだと言えそうです。

《撤回のできない相続放棄》

相続放棄は、申立てを一度行うとその撤回ができない手続きです。

こうした特徴のある相続放棄をする時には、必ず親の借金だけでなくプラスの財産についても調査をしておく必要があります。

借金を抱えた親が死んだ場合の対策3 他の相続人に相続放棄の事実を伝える

誰もが払いたくない借金が親にあった場合に、自分が相続放棄をする予定があるなら、その事実を他の法定相続人に伝えてあげるのが良心的な対応となります。

兄弟姉妹の誰かが相続放棄するとわかれば、他の法定相続人が遺産分割協議に向けた話し合いや、「自分自身も相続放棄を行うのか?」といった決断もしやすくなります。

これに対して相続放棄を行った事実を他の法定相続人に隠していると、法定相続分に沿った形で兄弟姉妹の間で平等に返済しようと考えていた借金の負担が大きくなる事実に気づかない人も出てくるため、注意が必要です。

また相続放棄をする際の兄弟姉妹への切り出し方などで悩む部分が大きい場合は、相続トラブルに強い弁護士に早めの相談をするのが理想となるでしょう。

get_footer(); ?>