遺言書が無効となってしまう7つのパターンとは?

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非常に効果的な相続対策として知られる遺言書も、書き方・作り方を誤ると全く効力がなくなってしまいます。

また無効となる注意点が守られていない遺言書の存在が明らかになった時には、残された法定相続人達に更なる不安や困惑を与えかねなくなりますので、将来的に遺言書をつくる予定があるなら、きちんとしたルールを頭に入れておく必要があると言えるでしょう。

今回は、遺言書をつくる上で欠かせない基礎知識と無効となる7つのパターンを徹底解説していきます。

遺言書とは?

内容や形式に関わらず亡くなる人が自分の死後のために遺した文章や言葉を、遺言、遺言書と呼びます。

民法上における遺言書には、死後に始まる遺産相続を含めたさまざまな法律関係を定めるための最終意思表示をあらわすものという定義があります。

しかし法律上の効力を生じさせるためには、民法で決められたさまざまな条件を満たす必要があるため、こうしたルールを知らない故人が適当な方法で記入した遺言書については、その中にどんなメッセージが込められていても無効になるケースも少なくない実態があるのです。

《遺書と遺言書の違いとは?》

遺書とは、亡くなる人が自身のメッセージを書き残したメモや手紙の総称です。

相続や葬式といった形式的なことだけでなく、自分が死ぬ理由なども記載できる遺書は、自殺者によって書き残されることもあります。

また治療の難しい病気で死期が迫っている人についても、家族への感謝の気持ちなどを伝えるために遺書を書くケースも少なくない実態があるようです。

《遺言書によって法的効力が生じるもの、生じないもの》

遺書と違って法律上の手続きに使用できる遺言書についても、内容次第では法的効力が認められないこともあります。

遺言書でできることとして一般的なのは、相続や遺産分割、遺贈、寄付といった遺産相続に関わってくる部分の内容です。

またこの他に、寄付行為や生命保険金受取人の変更・指定、信託法上の信託指定といった商法や信託法に関わる内容の中にも、遺言の法的効力が及ぶものもあるとされています。

これに対して結婚、離婚、養子縁組に関することは、どんなにしっかりと遺言書の中に記載しても、法的効力はないと判断されてしまいますので、注意が必要です。

遺言書における3つの種類

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの種類があります。

その名のとおり遺言者自身が手書きをする自筆証書遺言には、最も手軽に書ける反面、無効にならないために実践すべき多くの注意点があります。

これに対して公証役場で作成してもらう公正証書遺言の場合は、公証人を介することで偽造などが行われにくい特徴があるようです。

こうした形で種類によって特徴も注意点も異なる遺言書は、記載する側の事情や効力などから自分に合った方法を選択しておく必要があると言えるでしょう。

また遺言書の種類を混同していると、誤った認識によりせっかく作った内容が無効になってしまうこともありますので、作成前に基本的な知識を頭に入れておくことがスムーズかつ適切な相続対策に繋がると言えそうです。

遺言書が無効になることもある

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こうした形でさまざまな事項に法的効力を発揮する遺言書も、場合によっては、その内容ではなく作り方の問題でその存在が無効になってしまう点にも注意しなければなりません。

例えば、遺産相続や遺産分割に関する内容が大半の遺言書の中に、法的効力のない結婚や離婚に関する内容があったとしても、その部分だけを無視して他の内容について相続人達が検討することは可能となります。

これに対して書き方・作り方といった基本的なルールが守られていない遺言書については、その中に記載された内容全てに法的効力があったとしても、書類の存在自体が無効となってしまうため注意が必要です。

ここからは、これから遺言書をつくる皆さんに必ず守っていただきたい、遺言書が無効となってしまう5つのパターンを詳しく説明していきます。

遺言書が無効になるケース1 遺言書に日付が書かれていない

作成した日付のない遺言書は、どんな事情があったとして無効となります。

遺言書作成における日付は、基本的に「作った日が特定できること」が絶対条件となります。

そのため、「2017年8月吉日」と書かれている場合は、明確な作成日の特定ができないという理由で、遺言書は無効となってしまうのです。

ちなみに遺言書の作成条件を定める民法968条には、自筆証書という形式でつくる遺言について、遺言者自身が「全文、日付、氏名の自書と、印を押すこと」というルールが書かれているようです。

遺言書が無効になるケース2 加筆・修正の手順が間違っている

民法968条2項では、遺言書を書き誤った場合の対処についても、ルールが定められています。

例えば、自分の名前である三行目の「山田太郎」を「山田太朗」を修正する際には、まず「郎」の文字に二重線を引いた横に「朗」と書いて印鑑を押します。

その後、遺言書の空きスペースや末尾に、「三行目の一文字削除し、一文字追加した」といった追記をした上で、自筆で署名をしなければなりません。

会社などで行われている一般事務などの世界では、赤い二重線で間違った文字を消した後、その上に印鑑を押せば良いとするケースも大変多く見受けられますが、遺産相続などにも使われる遺言書については加筆修正に対してかなり厳しいルールがあると捉えるようにしてください。

遺言書が無効になるケース3 パソコンで作られた遺言書

自筆証書遺言を選択した場合は、パソコンではなく全ての文章を本人が直筆で書かなければなりません。

いつも愛用しているパソコンのワードで作成した遺言書に、直筆の署名と押印をした場合についても、無効となりますので注意をしてください。

これに対して本人が作成した遺言書を公証役場に持ち込む形となる秘密証書遺言の場合は、自筆証書遺言とは全く異なる手続きという理由で、ワープロで作った書類でも対応してもらえる形となります。

しかし秘密証書遺言についても自筆証書遺言と同じように細かなルールがたくさんありますので、公証役場に文書を持ち込む前に諸条件の確認をしておくのが理想となりそうです。

遺言書が無効になるケース4 不明確すぎる遺言書

遺産相続などについて遺言書を書く時には、「どの財産をどうするのか?」といったことを誰が見ても理解できる内容にする必要があります。

例えば、たくさんの土地や建物といった不動産を持つ人が遺言書をつくる場合は、事前に登記情報を取り寄せた上で、そこに書かれた所在、地積、地目、地番、家屋番号、床面積、構造などを正確に書く必要があります。

また住所表記と地番は基本的に異なる存在となりますので、このポイントを守らなければ当然、遺言書を見た遺族は「どの不動産を指しているのかサッパリわからない!」といった状況に陥ってしまうと言えるでしょう。

この他に、遺言書を開いた相続人それぞれが異なる解釈のできる曖昧かつ不明確な内容についても、各自の判断基準に委ねられるという理由で無効になってしまいます。

遺言書が無効になるケース5 被相続人以外の意思の介在が疑われる

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遺言書は基本的に、遺言能力のある本人が書くべきものです。

これに対して既に認知症を患っている時期に書かれた遺言書がでてきた場合は、他の相続人に意思が介在している可能性が疑われるといった理由で、遺言無効確認の訴えを起こされることもあるため、注意が必要です。

家族の中で一度でも被相続人の遺言能力に関する争いが起こると、その証明が容易ではないという理由でトラブル解消まで長い期間を要する形となります。

公正証書遺言が無効となるケース1 遺言能力のない遺言書

公証役場を介することで自筆証書遺言のような無効が起こりにくい公正証書遺言についても、わずかに法的効力がなくなるケースが存在します。

その中で最も多いトラブルは、遺言書を残す被相続人に遺言能力がないことです。

公正証書遺言をつくる場合、遺言者が記載したい事項や内容を公証人に伝える「口授」という方法が用いられます。

この前段階で遺言書の作成を弁護士などに依頼し、最終チェックのタイミングで公証人役場を訪れた場合、遺言者本人に多少の認知症があったとしても「はい」と答える能力が残っていれば、その状況下で公正証書遺言が作られてしまうこともあるのです。

こうした流れで形だけ作成されてしまった遺言書の中には、少しでも多くの遺産をもらおうと考える悪質な法定相続人の意図によるものも非常に多い実態があります。

公正証書遺言が無効となるケース2 不適格な証人を立てている場合

公正証書遺言の作成時は、遺言者が自分自身で2人の証人を手配する必要があります。

証人には特別な資格はありませんが、未成年者やゆ受遺者、推定相続人、遺言作成を行う公証人の配偶者といった人達は基本的に証人になってはいけない存在となります。

こうした人達が証人であることが発覚すると、せっかく作った公正証書遺言が無効になることもあります。

まとめ

一般的に多く用いられている自筆証書遺言や公正証書遺言には、その内容を無効にしてしまうたくさんの注意点があると言えそうです。

こうしたポイントを理解するのが難しかったり、自分で書いた遺言書の内容に不安がある場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談をしてみてください。

また弁護士に公正証書遺言の作成手続きをお願いすると、法律事務所の方で2人の証人を手配してくれることもありますので、自分の周囲に利害関係のある相続人しか見当たらないといった場合は、その内容を含めて話をしてみると良いでしょう。

この他に近頃では、遺言書作成以外に相続税の対策を終活とする方々も増えていますので、気になる方は法律の専門家にトータル的なサポートを求めてみても良いかもしれません。

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